ひとりの老後は不安ですか? (在宅生活支援、成年後見、死後実務委任、遺言)

「いざというときに頼れる人が誰もいない…」
「判断能力が落ちて詐欺師にだまされてしてしまったら…」
「孤独死するのが恐い…」
「葬儀や遺産整理のことで、親戚や知人に迷惑をかけたくない…」

ひとりで老後を迎える人が増えています。価値観の多様化にともない、生涯独身、離婚、子供に頼らない生き方は、今ではごく当たり前のことになりました。

年をとってもひとり暮らしを続けたい、でも「不安を解消したいが方法がわからない」「誰に相談したらいいのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。

ひとりの老後を不安なく過ごすために、知っておくと安心できる便利な制度、行政・民間のサービス、元気なうちにやっておきたい法律的な備えがあります

この記事では、ひとり老後を安心して迎えたいにあなたに必要な情報をご紹介します。

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もくじ

ひとり老後で困ることは? 対策しておきたい4つの場面

ひとり老後で困る状況というのは、どのような場合が考えられるでしょうか?

「困りそうな事はたくさん思いつく。多すぎて整理できない」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは話を整理するために、「1. 身体が動かなくなったとき」「2. 認知症になり判断能力が低下したとき」「3. 亡くなったあとでする手続き・葬儀」「4. 遺産相続」の4つの場面に分けて、詳しく見ていきたいと思います。

1. 身体が動かなくなったとき│ひとり暮らしを続けるためにできること

幸せな老後というと、家族に囲まれた賑やかな生活のイメージがあるかもしれませんが、実際には、ひとり暮らしをしている方の多くが、このままひとり暮らしを続けたいと望んでいます

平成26年に内閣府が行った「一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」によれば、ひとり暮らしをしている65歳以上の高齢者のうち、「今のまま一人暮らしでよい」と答えた方の数は76.3%にも上っています。

参照:内閣府ホームページ https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h26/kenkyu/zentai/index.html

同居家族がいる人よりもひとり暮らしの人のほうが生活満足度が高いという調査結果もあるようです(辻川覚志「老後はひとり暮らしが幸せ」より)

●自宅での生活を助けてくれるサービス

快適なひとり暮らしを続けるために、以下のような方法があります。

  • 家をリフォームしてバリアフリー化する
  • 家事支援サービスを利用する
  • 要介護認定を受けて介護保険サービスを利用する
  • 高齢者向け住宅に移る

全国の市区町村が、高齢者が自宅で安心して生活するために、様々な支援サービスを実施しています。料金はかかりますが、民間サービスもあります。要介護認定(要支援を含む)を受ければ、介護保険によるサービスも利用することができます。

– 家をリフォームしてバリアフリー化する

手すりの設置や段差解消のスロープの設置など、自宅のバリアフリー工事を対象に補助金制度を設けている市区町村は多いです。お住いの自治体に問い合わせてみるのもよいでしょう。

またバリアフリー工事は介護保険の対象でもあります。寝たきりなどの重い症状の方だけでなく、比較的元気な要支援1、2の方も対象です。申請には介護認定を受けることが必要となります。

– 家事援助サービスを利用する

多くの自治体で高齢者向けに無料または少額で家事援助サービスが行われています。シルバー人材センターなどのボランティアを使ってみるのもいい手です。

家事援助サービスは民間でも様々な企業が参入しています。家事代行を探している人と個人で家事代行を行っている人とをつなげるマッチングサービスもあります。信頼できる業者を見つけて利用してみるとよいでしょう。

食事の準備や掃除は、条件がそろえば生活支援として介護保険の対象となり訪問介護サービスをにもなります。

– 要介護認定を受ける

要介護認定を受けると要介護度に応じて様々なサービスを受けることができます。要介護認定というと認知症のイメージがある方も多いかもしれませんが、認知症でない方でも身体に生活をするうえで手助けが必要な方であれば、要介護認定を受けることができます。

要介護度には要支援1、2、要介護1~5まであり、一番軽い要支援1でも、食事、掃除などの生活支援、入浴支援、リハビリテーション、杖や入浴補助用具などの福祉用具の購入・貸与など、たくさんのサービスの中から介護保険の範囲内で必要なものを安い価格で受けられます。

要介護認定を受けたいという方は、まずはお住いの地域を管轄する「地域包括支援センター」に相談されるとよいでしょう。

– 高齢者向け住宅に移る

高齢者向けの住宅・マンションに引っ越しをするという選択もあります。

現在、自治体から民間まで様々な運営母体があり、受けられるサービスも介護福祉士や看護師が常駐し食事の提供までしてもらえるサービス付きの物件もあれば、バリアフリー構造や緊急通報システムがあること以外は通常の賃貸物件と変わらないといったものまであり、初期費用・賃料もピンキリとなっています。

リンク:UR住宅機構の高齢者向け賃貸住宅のサイト 

●病気になったら? 通院、入院、手術に備える

年をとって病気がちになると、病院へ頻繁に通うようになったり、ときには入院・手術が必要になることもあります。ひとり暮らしの方が、病院への送迎、入院の手続きなどの場面などで不便を感じることがあるかもしれません。

ここではひとり暮らしの方に役立つ通院・入院・手術のときの困ったときの対象法についてお話したいと思います。

– 通院介助サービスを利用する

ひとり暮らしで困るのは「体調が悪かったり身体が不自由で、ひとりで通院するのが大変」というときですよね。この場合は、通院介助サービスを利用する方法があります。自治体、ボランティア、民間企業でさまざまなサービスが提供されています。

タクシーなどの交通費は本人の負担になることが多いので注意です。

通院介助は介護保険の対象でもあります。要介護度が重い方では、介護タクシーの利用もできます。ケアマネージャーもしくは地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。

– 身元保証サービスを利用する

入院や手術の際、病院から身元保証人を求められることがあります。身元保証人とは、費用が支払われなかった場合の金銭保証や、死亡した場合の遺体の引き取りなどをする人のことです。

そうはいっても、「遠方で頼みずらい」「忙しそうで申し訳ない」などの理由で、気軽に頼める親類や友人がいない場合もありえるでしょう。そんなときは身元保証サービスを利用するという手があります。

身元保証サービスは、全国で多数の企業や団体が参入しています。サービス内容は契約によって決まり、費用も数万円から数百万円まで幅広いです。

過去に身元保証サービスを行う公益財団法人が破綻したという事例もあります。不安な場合は、消費者センターや地域包括支援センターにご相談されるとよいでしょう

– 病院のソーシャルワーカーさんに相談してみる

病院に通院中、入院中に何か困ったことがあったら、病院のソーシャルワーカーさんに相談してみましょう。病気になったことで今までにない困難がうまれてくることもあると思います。

金銭的なこと、生活するうえでの不安などがあれば、病院のソーシャルワーカーさんが力になってくれるはずです。助けとなる制度や施設、支援機関などを教えてくれます。病院によってはボランティアさんがいて入院中の買い物などを手伝ってくれたりすることなどもあります。

2. 認知症になり判断能力が低下したとき│認知症になった私をどうするか

内閣府の調査によれば、平成24年度の時点で、65才以上の方の7人に1人程度が認知症です。別の調査では、85才以上の方では4人に1人が認知症であるとの報告もあります。

ひとり暮らしの方が認知症になり、判断能力が低下したとき、引き続きあなたらしい生活が送れるようにするために、どのような対策ができるでしょうか。ここでは、いざというときのために役立つ3つの契約をご紹介します。

  • 任意後見契約・・・自分の選んだ人を成年後見人に指定して、自分の代わりに必要な契約をしたり、財産の管理をしてもらうための契約
  • 見守り契約・・・判断能力の低下を察知し、適切なタイミングで任意後見を開始させるための契約
  • 任意代理契約・・・判断能力が十分なうちで、もひとりでは難しい手続きや管理を、代理で行ってもらうための契約

これらの契約は、認知症になってしまう前に結ばなくてはいけないことにご注意ください。判断能力がない人が結んだ契約は無効となってしまうためです。

続いて、「任意後見契約」「見守り契約」「任意代理契約」を、ひとつひとつ詳しく解説していきます。

●任意後見契約│任意後見人は何をしてくれるのか?

任意後見制度とは、判断能力が低下した場合に備えて、本人に十分な判断能力があるうちに、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。

契約は、公証役場で公正証書という公文書の形式で作成します。

公正証書の作成費用は、公正証書作成の基本料1万1,000円、登記嘱託手数料1,400円、印紙代2,600」円、正本等の証書代約1万円で、合計すると約2万5,000円程度になります。

– 誰が任意後見人になるの?

任意後見人には特に資格は必要ありません。あなた自身が信頼できる人を選ぶことができます。

一般的には、ご本人の親族、友人、知人、司法書士・弁護士などの法律の専門家、社会福祉士などの福祉の専門家、または社会福祉協議会、NPO法人などがなることが多いです。

なお、未成年、破産者、行方がわからない人などは、任意後見人になることはできません。

– 任意後見人は何をしてくれるの?

任意後見人の権限の範囲はご本人と任意後見人となる人・法人が契約で自由に決めることになります。

例えば、以下のような事柄について、本人の代わりに行う代理権を、任意後見人に与えることができます。

  • 預貯金の管理
  • 金融機関での手続き
  • 不動産の管理
  • 介護に関する契約
  • 施設の入居手続き
  • 医療に関する契約
  • 賃料などの定期的なの支払い・受領
  • 親族などへの送金手続き

任意後見人には、実際の身体の介護をしたり、食事の補助などをする責任はありません。

– 任意後見契約の効力はいつ発生するの?

任意後見契約は、ご本人の判断能力が不十分な状況になり、家庭裁判所が申立てにより任意後見監督人(任意後見人の業務を監督する人)を選任した時から、契約の効力が発生します

任意後見の開始イメージ

逆にいえば、ご本人の判断能力が不十分な状況になっても、裁判所への申立てがされなければせっかく結んだ任意後見契約の効力が発生しないことになってしまいます。

契約を結んだ後、任意後見人がご本人の状況をしっかりと確認する仕組みをつくっておくことがとても大切です。この点については、この後の「見守り契約」のところで詳しく説明します。

– 任意後見人の報酬はどうやって決まるの?

任意後見人の報酬はご本人と任意後見人の間で契約で決めます。金額は自由です。相場は司法書士などの専門家がなる場合で3万円~5万円ほどです。親類や友人がなる場合には、0円となることもあります。

任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定します。相場は1万円~3万円ぐらいです。

●見守り契約│誰も異変にきづかなければ、任意後見は始まらない

任意後見契約の効力は、ご本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所が申立てにより任意後見監督人の選任をしたときから発効するため、万が一申立てがされないと後見人が必要な状況になっていても任意後見の効力は発生せず、せっかくの努力も水の泡となってしまいます


このような困った状況を防止するためにぜひ結んでおきたいのが「見守り契約」です。

– どうやって見守るのか? 具体的な見守り契約の内容とは

見守り契約の内容に決まりはありませんが、一般的には、任意後見人が「毎月1回」「3か月に1回」「半年に1回毎、65歳を超えて以降は3か月に1回」というように、定期的に本人を訪問(または電話連絡)し、本人の状態を確認するという内容の契約を結ぶことが多いです。

定期的に本人の様子を確認する契約を結ぶことで、異変に確実に気づき、すみやかに任意後見開始の申立てをすることができるというわけです。

– 様々な見守りサービス(自治体、郵便局、民間)

現在、市区町村などの民間や郵便局などで、見守りサービスが展開されています。これらは、任意後見を前提としない、安全確認をする目的のサービスです。

定期的に担当者が自宅を訪問するものから、玄関や冷蔵庫などにセンサーを設置しておくものまで、内容は様々です。

郵便局では、月1回、郵便局社員がご自宅などへ直接訪問するサービスを実施しています。30分間直接お話をして、生活状況を確認するために事前に決めておいた質問をします。結果はメールで親族などの指定の報告先に送られます。料金は月額2,500円(税込み)となっています。※令和3年5月現在

頼りたい親族がいない方であれば、仲の良いお友達同士でこのようなサービスをご利用されるのもよいのではないでしょうか。

リンク:郵便局のみまもりサービス – 日本郵便 (japanpost.jp)

●任意代理契約│任意後見開始までの不安を解消する

「突然入院することになったときのために、病院の手続きや支払いを頼む人を確保しておきたい」
「足腰が弱って外出が大変なので、日常の預貯金の出し入れをやってほしい」
「印鑑、通帳、権利証、マイナンバーカードなどの重要な書類を自分で持っているのが心配」

判断能力が十分な間でも、身体の自由がきかなくなると、生活の様々な場面で不安がでてくるものです。このような場合に備えて考えておきたいのが任意代理契約です。

任意代理契約により、判断能力が十分あるうちや、認知症になっていても程度が軽く、任意後見を開始するほどでもないというときでも、契約で指定した行為を、代理でしてもうらうことができます

– 任意代理契約でどんなことをお願いできるの?

任意代理契約の内容は、あなたと支援してくれる人との間で自由に決めることができます。

  • 預貯金の出し入れ
  • 重要な書類の保管
  • 光熱費・家賃・医療費などの支払い
  • 年金・アパート賃料などの受け取り
  • 役所での各種申請手続き

このほか、「不動産の売却」「医師に延命措置をしないことを伝える」「入院・手術時の身元保証」など、より重大な事柄についても、お願いすることが可能です。信頼できる人とよく話し合って内容を決めていきましょう。

– 任意代理には監督人がいないことに注意

任意後見は開始するときに必ず家庭裁判所で任意後見監督人がつき、任意後見人の業務を監督します。あなたの大切な財産を預かる立場にある任意後見人が、誤った運用をしたり、不正をしたりしないよう、しっかり見張る役目です。

これに対して任意代理には、公的に監督人をつける制度はありません。任意契約を依頼する人は慎重に選ぶ必要があります。

なお、司法書士が中心となって成年後見人についての活動を行っている公益社団法人リーガルサポートでは、会員である司法書士が任意代理契約を結にあたり、契約の内容や業務の遂行を指導・監督する活動を行っています

●まとめ│任意後見、見守り契約、任意後見の関係イメージ

見守り契約、任意代理契約、任意後見契約の関係イメージ

見守り契約と任意代理契約の開始時期は自由に決めることができます。見守り契約により判断能力の低下にきづいたら、任意後見開始の申立てをし、任意後見が開始されます。任意後見が開始され、任意後見契約の効力が発生すると、任意代理契約は終了します。

判断能力が低下することなく亡くなった場合は、任意後見契約の効力は発生しません。

当事務所でお手伝いできること

ひとりで老後を迎える準備をされている方といっても、今後に関するお考えや、置かれている状況は、ひとりひとり違います。当事務所では、お客様のご事情、ご希望、お考えを詳しくお伺いし、お客様にあった老後対策のプランをご提案させて頂きます。

任意後見契約・見守り契約・任意代理契約の文案作成のほか、公正証書作成の手続き、成年後見開始の申立ての文書作成、任意後見監督人選任の申立書作成などもお任せください。

ご事情によっては、当事務所司法書士を任意後見人としての任意後見契約も可能です。

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3. 死後にしてもらいたいこと│お葬式、埋葬、遺産整理を誰に任せるか

人が亡くなったあとでする手続きには、どのようなものがあるでしょうか。代表的なものを挙げてみます。

  • ご遺体の搬送
  • 葬儀・火葬・埋葬に関する手続き
  • お墓の管理、供養に関する手続き
  • 死亡届の提出
  • 健康保険証、運転免許証、パスポートの返還
  • 年金の受給資格抹消申請
  • 税金の納付
  • 関係者への死亡の連絡
  • 病院、介護施設の料金の精算
  • 賃貸アパート・マンションの明渡しと遺品整理
  • 公共料金の解除手続き
  • ペットの世話や施設への入所手続き

ひとり暮らしの方が亡くなった場合、これらの手続きは、基本的には相続人がすることになります。しかし、相続人がいない方や、遠方であったり疎遠であったりで、相続人がいても当てにしたくないという人は、困ってしまいますよね。

●死後事務委任契約│亡くなったあとの事務手続きを依頼する

こういう場合に活用したいのが、死後事務委任契約です。

死後事務委任委契約は、亡くなったあとの事務手続きを生前に依頼する契約です。依頼する内容、受任者の報酬は、契約で自由に決めることができます。

– 成年後見人は、亡くなったあとの手続きをやってくれないの?

近年の法改正により、医療費や入院費の支払い、火葬・埋葬に関する契約の締結など、一定の範囲の死後事務については、成年後見人の権限に含まれることになりました。

しかし、これは必要最低限のことという意味合いが強く、亡くなったあとの手続きをすべて任せることはできません。例えば、葬儀を執り行うことは、原則、成年後見人の権限には含まれないとされています。

任意後見契約を結ぶ際に、契約の内容に死後の事務委任について記載することは可能です。

– 死後実務委任契約は誰と結んだらいいの?

あなたの信頼できる人に依頼するのが一番です。司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門家に依頼することもできます。

任意後見任制度を利用するつもりであれば、任意後見人となる人にお願いするのがもっともスムーズです。任意後見契約を結ぶときに死後事務委任委契約も同時に結んでおくのがよいでしょう。

ひとり老後に不安を感じている方には、信頼できる人と、「任意後見契約」「見守り契約」「任意代理契約」「死後事務委任契約」の契約4点セットを結んでおくことをおすすめします。

4. 遺産相続│生前の財産整理と遺言で、残された人をトラブルから守る

相続にまつわるトラブルは多いです。遺産をめぐって親族同士が争ったり、相続したくない財産を相続することになって困ったり、部屋に残された膨大な遺産の整理のために相続人に大きな負担がかかることもあります。

また、相続人になることができる人は法律で決まっているので、お世話になった相続人以外の人に財産を譲るつもりが、何も残せなかったというような、悲しい状況もあります。

ひとり老後を生きてこられた方の中には、亡くなったあとも、だれにも迷惑をかけずにきれいに終わらせたいといった希望をお持ちの方も多いと思います。

そこで大切になるのが、①元気なうちに財産を整理しておくこと、②遺言を残すこと、の2つです。

●元気なうちに、できるだけ財産を整理しておく

親しい人が亡くなった後、故人を忍びながら遺品をひとつひとつ片付けする。そういう時間が、悲しみを癒してくれることもあります。

しかし、モノが大量にある場合、遠隔地の場合には、残された人にとって遺品整理は大きな負担になります。遺品整理会社に依頼すると、それだけで何十万円もかかってしまいます。賃貸物件にお住まいの方が亡くなった場合、遺品整理が終わって部屋を明け渡せるようになるまで、賃料を支払い続けなければなりません。

また、預貯金の通帳、保険証書、不動産の権利証、貸金庫の鍵など、大切な書類の在りかがわからない、紛失してしまった、というような困った事態が起こる可能性もあります。

こうしたトラブルを防ぐため、生前から少しずつ身辺の整理をなさることをおすすめします市販のエンディングノートを活用されるのもよいですね。

●遺言書を作成する

遺言書がない場合、亡くなった人の財産は法律で決められた相続人が相続します。配偶者や子供のいないひとり暮らしの方の場合、面識のない甥や姪が相続人になっている可能性もあります。

相続人が複数いる場合、財産は共有名義になります。共有状態を解消するには遺産分割協議をしなければなりませんが、遺産分割協議はその過程でトラブルに発展してしまうことがままあります。

財産が少ない方であっても、現金が数万円でもあれば、「だれがその財産を取得するか」は必ず問題になります遺言により、財産のこれらのトラブルを未然に防ぐことができるのです。

自分には関係ないと思っておられたあなたも、この機会に、遺言書の作成をご検討されてみてはいかがでしょうか。

– 遺言が必要となるケース

  • 特定の相続人に特定の財産を残したい場合
  • 相続人ではない人に財産を残したい場合
  • 相続人がひとりもいない場合

相続人がひとりもいない場合、財産は原則として国庫に帰属することになります。お世話になった人に財産を譲りたい場合は、遺言で遺贈をする必要があります。

– 遺言の種類はどんなものがあるの?

遺言には法律上決められた形式があります。よく使われる形式は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の二つです。

自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴

どちらの形式で遺言を残したらいいのか迷ったら、司法書士などの専門家に相談されるとよいでしょう。

ひとり老後を安心して迎えたいなら、ぜひ専門家にご相談を

ここでご説明したとおり、ひとり老後を安心して迎えるためにできる対策はたくさんあります。

これらの対策は、ひとりで準備できることもありますが、どのような内容の契約をいつ誰と結ぶべきか判断してプランを設計したり、任意代理契約、死後事務委任契約などの契約書や遺言書で法律的に有効な文章を作成したりすることは、簡単なことではありません。

身体が不自由になってから、判断力が低下してから、亡くなってから効力が発生するという性格上、失敗したときのリスクは高いです。

おひとりで悩み不安を感じている人は、司法書士や弁護士などの専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか。一人ひとりの状況にあったプランを提案し、最後までしっかりサポートしてくれるでしょう。

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